2025年7月の金価格下落と投資のポイントをやさしく解説

「金(ゴールド)は“安全資産”だから、どんな時も安定しているはず」
そう思っていたのに、2025年7月の金価格(XAU/USD)は3,339ドルまで下落しました。
「え?なんで下がるの?」と感じた方も多いのではないでしょうか。

実は、金は“安全資産”と呼ばれますが、必ずしもずっと上がり続けるわけではありません。
今回の記事では、金価格が下がった背景と、「なぜ安全資産が売られることがあるのか?」について、中学生でも分かるようにやさしく解説します。
投資初心者の方もぜひ参考にしてみてください!

金(ゴールド)は安全資産なのに、なぜ価格が下がるのか

 

2025年7月の金価格と直近の動向

2025年7月18日、金価格(XAU/USD)は1トロイオンスあたり3,339ドルまで下がりました。

この価格は、直近の高値と比べて大きな下落といえます。

 

多くの投資家や一般消費者は、「金は安全資産(価値が減りにくい資産)なのに、なぜ価格が下がるのか」と疑問に思っています。

ここでは、最近の金価格の動きについてまとめます。

 

2024年には、世界的な経済不安や地政学リスク(戦争や紛争などの国際的な対立)が影響し、金価格が大きく上がる場面が何度もありました。

しかし、2025年夏以降はアメリカ経済の力強さやドル指数(ドルの価値を示す指標)の上昇、さらにFRB(アメリカの中央銀行)の利上げが続くとの見方が広がっています。

 

こうした状況を受けて、「金を売ってドルに換える」という投資家の動きが活発になり、結果として金価格の下落につながったと考えられます。

 

 

金は「安全資産」とはどういう意味か

金(ゴールド)は、多くの市場関係者やメディアで「安全資産」と呼ばれています。

この「安全資産」とは、世界的に価値が安定しやすい資産を指します。

 

たとえば、戦争や大規模災害などの不安材料が起きた場合、世界中の投資家は資産を守るために「価値が減りにくい資産」を選ぶ傾向が強まります。

その代表例が、金やドル、国債(国が発行する債券)などです。

 

金は紙幣と違い、発行する国や組織の信用に頼らないという特徴があります。

このため、金は世界共通の価値を持ちやすいと見なされています。

 

ただし「安全資産」という性質がある一方で、金価格が必ずしも下がらないとは限りません。

次に、金価格が下がる理由について解説します。

 

 

金価格が下がる理由:為替・金利・経済の関係

 

今回の金価格下落を引き起こした主な要因

今回の金価格の下落には、おもに三つの要因が関係しています。

 

1. ドル指数の上昇

ドル指数とは、アメリカドルがほかの主要通貨と比べてどれほど強いかを示す指標です。

2025年7月、アメリカ経済が市場の予想以上に好調となり、ドルの価値が高まりました。

 

ドルが強くなると、ドル建てで取引される金は、ほかの通貨を使う投資家にとって相対的に高く感じられやすくなります。

この結果、金が売られやすくなったと考えられます。

 

2. アメリカ小売売上高の好調

アメリカ国内の消費が活発になり、小売売上高(消費の指標)が堅調に推移しています。

こうした状況では、「アメリカ経済が強い」というイメージが広がり、投資家は株式やドルなどのリスク資産を選びやすくなります。

 

そのため、金を売る動きが増えやすくなったと見られています。

 

3. FRBによる利上げ継続観測

FRB(連邦準備制度理事会)が政策金利を引き上げると、ドル預金や米国債(アメリカ政府が発行する債券)の利回りが上がります。

利回りが高くなると、「利息がつく資産に預けたい」と考える投資家が増えがちです。

 

その結果、利息がつかない金が売られやすくなり、価格が下がる状況が生まれると考えられます。

 

 

ドル指数と金価格の関係

金は世界中でドル建て(ドルで価値を決めて取引)されている資産です。

つまり、「金の価格=ドルでいくらか」が基本的な基準となります。

 

ドルが強くなると、海外の投資家は「金が割高」と感じやすくなり、金の売却が増える場合があります。

反対に、ドルが弱くなれば、金の価格が上がりやすくなる傾向が見られます。

 

 

金利上昇時における金価格の動き(逆相関の仕組み)

金には利息がつかないという特徴があります。

一方、ドル預金や米国債などは利息(利子や金利)がもらえる資産です。

 

アメリカの金利が上がると、預金や米国債のほうが投資先として有利に感じられるため、金が売られやすくなります。

そのため、金価格が下がりやすい傾向が生まれると考えられています。

 

このような動きは、「金利と金価格が逆の動きをしやすい=逆相関関係」と呼ばれます。

金価格が上昇しやすい時・下落しやすい時のタイミング

金価格の変動には、世界的なニュースや経済状況が大きく関与しています。
ここでは、「金価格が上がる時」と「下がる時」について具体的な場面ごとに整理し、わかりやすく説明します。

金価格が上がりやすい主な状況

  • 戦争や危機が起きたとき
    世界で戦争やテロ、自然災害などのニュースが広がると、多くの投資家は自分の資産を守ろうとします。
    こうした状況下では、長い歴史の中で価値が安定してきた金が選ばれる傾向が顕著です。

 

  • 経済の先行きが不安定なとき
    株式市場が大きく下落したり、景気が後退しそうだと感じられる場面では、株や通貨より金に資金が集まりやすくなります。

 

 

  • インフレ(物価上昇)が進んでいるとき
    インフレとは、モノやサービスの価格が継続的に上がり、お金の価値が下がる現象です。
    この場合、「金で資産を持った方が安心」と考える投資家が増えます。

 

金価格が下がりやすい主な状況

  • 経済全体が好調なとき
    景気が良い場合、投資資金は株や不動産など、利益を生み出す資産に向かう傾向が強まります。
    金は配当や利息(インカムゲイン)が付かないため、他の資産と比べて売却されやすくなる現状。

 

  • 金利が高いとき
    金利上昇局面では、預金や債券で利息が得られるため、投資家は金から金利の付く商品へ資金を移す傾向が見られます。

 

 

  • ドルが強くなったとき
    ドル高とは、他の通貨に対してドルの価値が上がること。
    ドル高の時期には、金が相対的に割高と感じられ、売り圧力が強まる傾向。

 

金が買われやすい時と売られやすい時の比較

状況 金が買われやすい(上昇要因) 金が売られやすい(下落要因)
経済・政治の不安定 ◎(安全資産として需要が増加) ×(景気が良いと売却増加)
金利 ×(低金利時に購入意欲が高まる) ◎(高金利時は売却が増加)
ドルの強さ ×(ドル安時に需要が増加) ◎(ドル高時は売却されやすい)
インフレ ◎(物価上昇で需要増加) ×
投資家心理 資産を「守りたい」意識が強まる 資産を「増やしたい」意識が強まる

金投資で必要となる「視点の切り替え」

金は一般的に「安全資産」と呼ばれていますが、実際には価格が大きく動くことも珍しくありません。
そのため、投資家がどのような視点やスタンスで金と向き合うかが重要なポイントとなります。

短期と中長期、どちらの視点を持つべきか

  • 短期(数日から数か月単位)で見る場合
    金価格は、経済ニュースや金利の発表、政治的な出来事などによって大きく変動する場合があります。
    たとえばFRB(アメリカの中央銀行)が利上げを発表したり、アメリカ経済の力強さが報道されると、短期的に金が売られるケースも見られます。

 

  • 中長期(数年から数十年単位)で考える場合
    歴史的に見ても、金はインフレや通貨危機など経済リスクから資産を守る役割を担ってきました。
    世界経済の動きを踏まえて、長期的な分散投資の一部として金を保有する投資家も少なくありません。

 

金ETFや分散投資の活用方法

近年では、「金ETF(上場投資信託)」のように、金現物を持たずに金価格の値動きに連動する投資商品も選べます。
証券会社の口座を開設すれば、少額から金投資を始めることも可能です。

また、資産を金だけに集中させず、株式や債券など他の金融商品と組み合わせて分散投資を行うことで、全体のリスクを低減できるというメリットがあります。

Q&A:金投資や金価格についてのよくある質問

Q1. 金は今後も安全資産として認められるのでしょうか?
A. 金は世界中で長い間、共通の価値を持つ資産として認識されてきました。ただし金価格は変動しますので、「絶対に安全」とは言い切れません。資産全体のリスクを分散する一部として保有する方法が現実的といえるでしょう。

Q2. 今から金を買っても遅くありませんか?
A. 金価格は常に変動しています。短期的な値動きに左右されず、ご自身の投資目的やリスク許容度を見極めた上で、長期視点を持つことが重要です。

Q3. 金利が上昇すると金が売られやすくなる理由は何ですか?
A. 金は利息(インカムゲイン)が付かない資産です。金利が上がると、預金や債券で利息を得られるため、投資家は金を売り、他の資産に資金を移す傾向があります。

Q4. 少額でも金に投資できますか?
A. はい、可能です。金ETFや純金積立のように、少額から金投資を始められる方法が複数用意されています。

まとめ:安全資産にも「波」がある。金とは賢く付き合おう

金は長い歴史の中で「安全資産」として世界中の人々に選ばれてきた存在。
しかし、金価格もさまざまな要因で大きく動く現実を、2025年の出来事が改めて示しています。

  • 金は“常に上がり続ける資産”ではない
    ドルや金利の動向、経済全体の流れによって、短期間で大幅に下落する場面も起こり得る状況。

 

  • 短期と中長期、両方の視点を意識
    一時的な値下がりで焦るのではなく、「なぜ動いたのか」「長期的にはどんな傾向か」を見極める姿勢が大切。
    ニュースの一報に流されず、自分自身の投資目的を明確に持つことが重要です。

 

 

  • 分散投資でリスク分散
    金だけに頼るのではなく、株や債券、預金などと組み合わせて投資することでリスクを抑えやすくなります。
    金ETFなど、手軽な選択肢も積極的に活用してみてください。

 

最後に

「え?金って安全資産じゃなかったの?」
そんな疑問を感じる方は少なくありません。
金は世界のお守り的な資産ですが、やはり価格変動の“波”がつきもの。

最も大切なのは、「なぜ金が動くのか」を知り、自分自身が納得できるスタンスで資産運用に向き合うこと。
長期的な視野で、無理のない範囲で金と上手に付き合っていく姿勢が賢明です。

 

田中貴金属工業「金価格・マーケット情報」

 

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